土地をご案内しているときのお話しです
そのお客様は電磁波をお気にされる方で
ご覧いただく物件の上空…電線を非常に気にされていました
微量ながら電磁波を発するためドライヤーや携帯電話もお使いになっていないとのことでした
敷地内を電線が横切る…
現在は電力会社様も他人の敷地上空を電線が横切らないようにされているそうですが
地中埋設のインフラが進んでいない伊東市では
まだまだ上空の電線が消えることは先になるでしょう
現時点で影響がなくても…
電波障害や電線が切れたらどうしようと
不安に思うお客様もいらっしゃるのも然りですね
増してや昨今の異常気象によるスーパー台風などが当たり前なご時世…
断線や固定金具ごと外れてしまい手に届く位置に電線がダラーンと…
台風時のお客様対応でこのような現場を何度も見てきました
土地の所有権を考える時
お隣やお向かいなど水平方向の境界は厳密に決められていますが
上空や地下の境界…どこまで所有権が及ぶのか???
この点はあまり気にされない方も多いのではないでしょうか
土地所有権の範囲に関しては民法207条で
土地の所有権は法令の制限内においてその土地の上下に及ぶと記載されています
しかしながら上空何メートルまで…地下何メートルまでとの厳密な記載はございません
空中権に関係する法律としては建築基準法や景観法があります
建築基準法では例えば第一種もしくは第二種低層住居専用地域での建築物の高さ上限を
10mまたは12mまでと定められています(例外もございますが)
景観法では建築物の高さの最高限度または最低限度が制限されます
いずれも…
建築物の高さの制限で空中のどこまで所有権が及ぶかの明確な数字はありません
では地下はどうでしょう…
関連する代表的な法律に大深度地下使用法という法律があります
通称 大深度法は地下空間を有効に活用して公共事業を円滑に進めよう
という趣旨のもと制定されました
大都市圏の地下鉄を連想して頂くとご理解頂けるかと思います
大深度法では…
公共事業に使われる大深度地下の定義は
地表から40m以深または建物の支持基盤の最深部から10m以深のうち
深い方の地下となっています
一般的に土地の所有権が及ぶ範囲は地表から40mまでということになるでしょう
但しこの制限が適用されるのは東京都や大阪府など11都府県のみで
それ以外の地域では無制限になります
裁判例はあまり多くはございませんので
この地表から40mを凡例にするしか指標がないようですね
今回のお客様の相談例からすれば
敷地上空の空中権に関して問題になるケースとしては
電線の横断や隣家の木の枝の侵入…
現実的に起こりうるのはこのような問題でしょうか…
相手がいらっしゃれば解決する糸口はある内容だと思います
地下権が問題になるケース…
ご自分の敷地から埋蔵物が出てきたり産廃が出てきた場合…
隣家の木の根っこが侵入してきた場合などが現実にある問題でしょうか
上記問題も勿論相手がいらっしゃるならば解決する手立てはございます
ただし埋蔵金や遺跡などで文化的価値が高いものは
文化財保護法に基づき国や都道府県の所有物となる可能性もありますが
その場合には発見者と土地の所有者には報奨金が支払われるようです
願わくば平穏無事に暮らせるのがいちばんですよね
今回は所有権が及ぶ上空と地下についてのお話しでした
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